◆ 経営改善スキーム策定支援
経営改善スキームについて
経営改善のスキーム(手法)については、事業内容、従業員、運営組織、経営組織、株主構成、債務の額と内訳、債権者との関係、取引先との関係、顧客との関係、競合他社の数、関連会社の有無などなど、対象となる事業や企業の状況や取り巻く環境が一つひとつ異なっている事から、各種デューデリジェンスによりそれらを把握・分析した上で、その企業や事業にとって最も適したものを総合的な判断により決定する必要があります。
特に、法的整理を行う場合には、先のシナリオを見越したリスク分析をきちんと行わなければ、風評により事業が継続できなくなってしまったり、資金繰りが続かず破産に移行してしまったりする場合が多々発生するので、経験豊富なチーム組成による、事前の十分な検討が重要です。
以下に、経営改善スキームの簡単な例を挙げてみます。
経営改善計画(実抜計画)による債務の圧縮と返済のリスケジュール
時限立法である「金融円滑化法」は終了しましたが、金融機関には引き続き中小企業への金融支援に努めることが課せられています。 具体的には、「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(=実抜計画)」の策定を支援し、貸し付け条件の変更から債権放棄まで適切なソリューションを提供する事や、実行後も継続的なモニタリング、経営相談、指導などのコンサルティング機能を発揮する事など、事業再生に向けて企業が自助努力ができるよう、最大限支援していく事が求められています。
したがって、まずは金融機関に貸し付け条件の見直しを依頼し、債務の圧縮や返済のリスケジュールを含む「実現可能性の高い抜本的な経営改善計画(=実抜計画)」を策定する事で、早期の再生を図ります。
会社分割や事業譲渡による債務の圧縮と事業の継続
このスキームの代表的な事例としては、複数の事業部門を抱えている企業が窮境に陥った場合に、優良な事業部門だけを会社分割や事業譲渡により抽出し、資産及び事業価値に見合った分だけの負債を承継する事で、正常な企業として再建を図るケースや、過去の不動産投資や設備投資により過大な負債を抱え窮境に陥っている場合に、事業とそれに見合った資産及び負債を抽出する事で再建を図るケースなどが挙げられます。
スポンサー支援によるプレパッケージ型民事再生
民事再生とは、民事再生法に基づいて裁判所の監督の下、透明性を担保しつつ債権債務を整理する手法で、債務者自らが事業主体の地位ないし財産の管理権を維持継続したまま、事業の再建を行っていく点に大きな特徴があります。
プレパッケージ型というのは、事前に再生を支援する金融スポンサーや事業スポンサーを選定した上で、民事再生を申請するスキームで、債権者の同意を得やすい手法といえます。
中小企業再生ファンドを活用した債務の圧縮とリファイナンス
再生ファンドスキームとは、リスケジュールなどでは返済が超長期化し、事業再生に向けた根本的な解決策とならない場合に、事業規模に対して過大な債務を圧縮する目的で、金融債権者から再生ファンドに債権を売却してもらい、再建後のリファイナンスにより一定額を弁済する事で残債を放棄してもらうスキームです。
再生ファンドは債権回収を目的としたサービサーとは違い、中小企業の再生を目的として組成された投資事業有限責任組合(中小企業再生ファンド)で、中小企業基盤整備機構も積極的に出資や支援が行われています。